home
itusyukai
書の本質

☆ 自然で純粋な作品は心打つ ☆



      俗っぽさをみせない、古典に立脚した普通の書を ・・・ 書家 / 艸亭 増田善吉

  「筆の用い方」 と 「墨色」 に首を傾げたくなる不自然な疑問 ”作品” を時々見かける事があります。
  筆の用い方 ・ 使い方が意図的に ”筆を複数
束ね持って” 書く 不正式な書き方や 筆鋒の先端部分に
  一寸 ”水” を付けたし 不自然な 濃淡変化を出す作為的な書き方。
 これらは、ひとつの味わい効果を
  狙って面白いかも知れませんが、前者も後者も、余技として
アート感覚 を楽しむなら 兎も角、この様な
  手法は ”それまで” の作品に過ぎません。
 多少の未熟さがあっても自然に書いた”純粋”作品の方が
  好感持てます。あくまで書の本質は別な所に有ります。”筆や墨”
などで自然な「線質」と「墨色の変化」
  を普通の書き方で生み出す習練が不可欠です。 つまり 「用筆法」 によって 調和のとれた 様々な深み
  のある立体的な線質、書きながら自然に出る滲みや
濃淡などを”ノーマルな方法”で表現出来るように
  習いたい。  
墨色に至っては無頓着な ”黒々” としたもの それと余り 「手入れ」 が行き届いていない
  「宿墨」を使ったものなどは感心致しません。 ・・・・・ 宿墨を どうしても利用したい場合には それなりの
  ”手入れ” と ”工夫” が必要だと思います。  「濃墨」 ・「中間色」・「淡墨」はそれぞれの良さと 特徴が
  あります。 ・・・
墨色の出し具合はそう単純なものでなく 難しいもので 徐々に 体験しながら墨の特性を
  掴み取り ”磨り方” なども深く
研究しなければならない。 そして常に硯の調子を保つために「調整」や
  「手入れ」を怠らないことです。それと同様に「筆の手入れ」も”こまめ” に行ない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・ 硯や筆などと末永くお付き合いしたいものです。


      
|増田艸亭|
 余談@ 〜 マス メディアの影響が混じりあって近頃では 「書の本質」 と かけ離れた異質の書道情報を見聞きします。 ・・・・・
       
  字は誰でも書けますが、書道(書法 ・書)とは何かと いう事を深く研究しなければ “見識不足” に陥り、本来の書は
      
  全く、書けないものです。 人は品位の善し悪しを問われますが、書においても品位の有無が重要な要素、その品位
      
  すなわち気品を得る為に先人の優れた古典から コツコツと学ぶ努力によって結実する。従って書法における各要素
      
  の修得なくしては書を作り上げる事は不可能です。幾何学的な法則 」を逸脱し勝手に書かれた文字は書の道から
      
  外れた自己流の字、書として成立しないでしょう。

 余談A 〜
書家とは、書作品を制作する者、学校で書道を教授する者、市井で書塾を経営する者等、書に携わる者を総称して
        こう呼ぶ。しかし厳密に言うと古来、書家といわれた人々は、一家を成した作を遺し得る人を指す。

 余談B 〜 学校教育では人格形成を重視して、高等学校や大学では
“書道” という呼称が使われているが、あまりにも“道”
       
 の観念にこだわると “書”の正統な発展を 遅らす危険がある。 現代造形として一義的に割り切ると、伝統につちか
       
 われた “書の本質” を見逃す結果となる。


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

書の真髄、筆使いから始まり、そして筆使い。       
 <平成20年 9月 : 増田艸亭>

稚拙が漂う書は、人の心を惹付け、奥深し。         <平成21年10月
 : 増田艸亭>

喰わず嫌いは、学書の妨げなり。                <平成22年 3月
 : 増田艸亭>

己の書は有儘の姿、論説口実を慎む。            <平成22年 9月
 : 増田艸亭>

劬劬の学書あってこそ、真の書を知り、人を知る。      <平成23年 1月
 : 増田艸亭>

不均衡による粗密の調和は書の趣なり。           <平成23年 1月
 : 増田艸亭>

拗けず、繕わない、仄々とした一粒の書、人となり。     <平成23年 1月
 : 増田艸亭>

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


< 書 作 品 >


【 龍 】

増田艸亭


【 天福 】

増田艸亭


【 極 】                         【 是 】
          
増田艸亭                             増田艸亭




トップページへもどる        書法研究・聿修會(いつしゅうかい)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ itusyukai ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・